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キングダム67巻を読んで

もう、67巻かと思うのか、まだ67巻かと思うのか。このペースで行くと、秦が中国を統一するのが、300巻ぐらいになるかもしれません。

ちなみに、キングダムを読みだしたのは、最近(3年ぐらい前)になってからです。

読まなかったのは、いつもの食わず嫌いのせいでしたが、長時間飛行機に乗る必要が出来たので、kindleに一巻から五十巻ぐらいまでを、大人買いダウンロードして、一気に読破しました。

まず思ったのが、キングダムの新しさは、敵キャラの描き方のうまさとともに、味方陣営の中のヒールの存在感でしょう。

今回の巻では、この味方陣営の中でももっと悪い(?)桓騎がメインの話になっています。その生い立ち、その性格、そして何のために戦っているのか。これまで彼は六将の一角を占めながら、山賊上がりのならず者として扱われてきました。

今回で、なぜあんな冷酷非情なやり方で戦い続けるのか、その目的、敵とする相手が描かれていました。

たぶん、読んだ人は、桓騎がもっとも憎き敵として思っているのは、差別を作り上げている支配層ではなく中間層。見て見ぬふりをする者達だと知って驚いたでしょう。そして、彼の言葉に少なからず心が動かされたと思います。

なぜなら、彼が憎き敵とみなす「中間層」とは、つまり今で言えば、我々のことを指しているからです。

中間層、つまり大衆は昔から、もっとも動かすのが困難と言われてきました。過去、いろんな活動において、インテリや先端的な知識人たちが先頭が一生懸命アジテートしたり、組織化したりとしてきましたが、動きそうで動かないのがこの中間層でした。

歴史上唯一動いて世の中が変わったのが、フランス革命だとも言われています。

そのもっとも困難なことを、今回の巻で桓騎はやろうとしていることがわかりました。

何とかして歴史を動かそうと思い取った手段が、あの残虐で容赦しないやり方として現れてしまったのです。

それは、どこか曹操とか織田信長とかレーニンのやり方を連想させます。

はたして、その野望はどう果たしそうとしていくのか、そのゴールはどこにあるのか、本当の歴史では彼はそのままフェードアウトしていってしまうようですが、漫画ではもう少し彼が何を夢見ているのか知りたくなる。そんな巻でした。

しかし、1巻から最新刊まで、内容のテンションも充実度も変わらない作者は、尾田栄一郎さんと同じく、やっぱりただ者ではないです。桓騎以上のバケモノです。創作者なので当たり前ですが。

ではまた

仲村比呂
小説家
主に小さい子から読める物語を作っています。文学は最強です。

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