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言の葉 舞い散る桜によせて(詩)

言葉とさよならしたのはいつだろう
かけがえがなかった自分の言葉
発した言葉がすべてが自分自身だった

捨てられて
さらされた言葉の終わりに
ずっと断末魔の悲鳴を聞いていた

今日桜の花が散る
花びらが舞って舞う
失われた言葉のように

散るよりも散らせたかのように
言葉ははらはらと舞って
誰かの心の池に舞い落ちた

言葉が別れをつげてきたのはいつだろう
それはいつでも他人の言葉
言葉のすべては他人のものだった

笑われて無視された
ありふれた言葉の始まりに
言葉自身のため息を聞いていた

桜の花が散る
散って散って生まれ出る
失われた言葉のように

やがて言葉は強き葉となって
萌えて重なり新たな生命を帯び
他人の意識に浮かびつつ

遠い遠くなった
本当の言葉
再びそんな言葉を聞きたくて
今日も言葉の大海に漕ぎ出でる

舞い散る桜の花びらを見つめながら

仲村比呂
小説家
主に小さい子から読める物語を作っています。文学は最強です。

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